『馬鹿』でひとつ賢くなった話
昔から生き物全般なんでも好きです。
見てて楽しいのは哺乳類と鳥類、知れば知るほど奥が深いのは昆虫と魚類、興味が尽きないのは微生物と植物…。
なかでも特に好きなのが、犬と馬。
人との関係性が、とにかく凄い。(自分の語彙力のなさを恨む…!)
知能が云々、ということではなく、犬や馬が人を理解して、人が犬や馬を理解して…何世代も、何世代も、長い時間をかけてお互いに愛し愛され出来上がってきた今日の関係性。
これが、たまらなく愛おしい。
(猫も歴史は長いけれど、猫は猫の世界、人は人の世界で生きていたけれど、たまたま共存できて、コミュニケーションも取れた、と言った感覚。それはそれで愛おしいし、猫そのものは美しいから尊い…けれど、犬と馬と人の関係性はそれを超えたところにある気がします。)
そんな私なので、一時期、乗馬をかじってたことがあります。
正反動でアワワアワワになるぐらいのレベル、と言えば業界の方はご理解いただけるでしょうか?
身も蓋もない言い方をすれば『下手くそ』です。
ただ、馬たちは本当に賢いのは乗馬で『人馬一体』になれない私でも、よく分かる!
人と同じかそれ以上に性格や気質がいろいろあって、当然相性もあるし、気候や体調やちょっとしたことで機嫌が良くなったり悪くなったり。
歳を取るごとに性格がひねくれたり穏やかになったり、そのへんも人と一緒。
騙したり騙されたりもあるし、緊張したり焦ったりするのも一緒。
草食動物なぶん犬より繊細で、身体が大きいぶん犬より大胆な気がします。
そう、それで、昔から疑問に思っていたんです。
『馬鹿』って、なんで馬と鹿なんだろう、って。
鹿がどうかは分かりませんが、少なくとも馬は特別に賢い。
おそらく、今よりも濃密に馬と暮らしを共にしていた昔の人達はその賢さは分かっていたはず。
馬と鹿が愚かな生き物キング&クイーンみたいに言われるのは腑におちない!
長年、疑問に思っていたのに、ついつい調べ忘れてはや10年20年…やっと先日、調べて納得!
『日本大百科全書 18』(小学館 1994)
p.580「ばか」
梵語で「痴」を意味するmoha(慕何)や「無知」の意のmahallaka(摩訶羅)の転というが、破家(家財を破るほど愚かな意)の転義ともいい、語源については諸説がある。
他にも、語源には諸説あるようですが、少なくとも『馬や鹿のように愚かな様』といった説明は見つかりませんでした。
何事も調べてみるものだなぁ…長年のつかえが取れて、スッキリ。
誤解を受けている馬や鹿は気の毒だけれど、広い世界のなかで日本だけの話なので取るに足らぬことでしょう。
調べたついでに馬系英語表現をいくつか。
You can lead a horse to the water, but you can’t make him drink.
(馬を水場に引いていくことはできるけれど、飲むかどうかは本人次第。あれこれ教えたり環境を整えたりはできても、やるかどうかは本人次第、という意味。)
Even the best horse stumbles.
(名馬も躓く。猿も木から落ちる、と同意。)
Never spur a willing horse.
(やる気のある馬に拍車をかけるな。やる気の人に叱咤激励してやる気を削ぐな、という意味。コレ、乗馬する人はめっちゃ分かると思います。馬の性格によっては拍車のタイミング間違えるとヘソを曲げるんですよね…。)
Misfortunes come on horseback and depart on foot.
(不運は馬に乗ってやってくる。そして歩いていなくなる。嫌な事は突然やってきて、何事もなく思えるようになるまでは時間がかかる、といった意味。)
The horse is God’s gift to mankind.
(馬は神が人に与えた賜物。アラブの格言だそう。アラブといえば優れた馬の産出国ですしね!同意!激しく同意!)
ちょっとしたお勉強になりました。
馬、素敵だなぁ。好きだなぁ。