大三島に移住した某薬剤師の脳みその中

生き物らしく生きたい!と思い大三島へ。毎日が冒険。

方言の話

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↑ 寒いっ!寒いのだ!!

 

思えばいろいろな方言に触れて生活してきました。
父の仕事の都合でいろんな所を転々としてきたからです。

東京(杉並)→愛知(名古屋)→広島(広島)→岡山(岡山)→埼玉(今は亡き浦和、さいたま市は未だに慣れない!)→香川(高松)→京都(京都)→2ヶ月ほど東京(江東)→大阪(茨木)→大阪(枚方)→愛媛(今治)☆イマココ☆

フラフラとしてきたせいですっかり私の話す言葉はごった煮状態ですが、特に中四国の言葉は馴染みがあるので、今とても助かっています。

薬局に来られる高齢者の方たちは方言で話されることが多いので、意味が分からないことには訴えも分からないことがあります。

ここで唐突に方言クーイズ!!
(どれも実際にあった会話ばかりです。職場は因島なので、おそらく備後弁に近い方言でしょう。)

 


☆☆☆次の方言を標準語に訳しなさい☆☆☆
(すべてシチュエーションは薬局のカウンターです。)

1) 点眼ビンを持ったおばあちゃん
「こがんこまい容れ物に入っとるけぇ、ぎゅっと掴むとえっと出よう?そがんすぐにみてるんよ。」

2) 片腕を吊るしたおじいちゃんとの会話
薬剤師「今日はどうしちゃってです?」
おじいちゃん「階段で転んでのぅ、骨が折れとった。買い物して荷物をよう持たんと思うて自転車ついて来たけど、それも片手だとあずるわ。」

3) 認知症のおじいちゃんを介護しているおばあちゃん
「近頃、あの人とくりゃあ、いなげなことばぁよぉろう?何か言うたらすぐにはぶてるしな。この前も一人で何かおらんびょったわ。先生はこの薬で落ち着くでしょう言うちゃったけど、心配でなぁ…」

4) 塗り薬と湿布の使い方を確認
薬剤師「薬は上手に使えちゃってです?」
おじいちゃん「こっちの薬は皮のやおいとこに塗ってる。こっちは足に塗ってる。こっちの湿布はなかなかうまく貼れんのよ。背中に手がたわんのじゃ」
薬剤師「誰か手伝ってくれる人はおっちゃってです?」
おじいちゃん「嫁にてごぅてもらおうかな」

5) インフルエンザにかかったおじいちゃん
「とにかくたいぎいんよ。」

6) 皮膚科の処方箋を持って来たおばあちゃん
おばあちゃん「庭木をいらいよったらすいばりが刺さって腫れてな。先生はばい菌が入っとる言うちゃった。」





 


☆☆☆解答☆☆☆

1) 「こんなに小さな容器に入っているから、ぎゅっと掴むとたくさん出るでしょう?それだからすぐになくなるのよ。」
えっと : たくさん
みてる : なくなる(ただし、少しずつ減っていくものに対して使う。粉体や液体のイメージ強し。)

2) 薬剤師「今日はどうされましたか?」
おじいちゃん「階段で転んでね、骨が折れていた。買い物をして荷物をとても持てないと思って自転車を押してきたけれど、それも片手だと苦労するね。」
あずる : 手こずる、苦労する

3) 「最近、あの人とくれば、おかしな事ばかり言っているでしょう?何か言ったらすぐにふてくされるしね。この前も一人で何か叫んでいたわ。先生はこの薬で落ち着くでしょうと仰ったけれど、心配でね…。」
いなげな : 変な、おかしな
おらぶ : 叫ぶ、大声を出す
はぶてる : すねる、ふてくされる

4) 薬剤師「薬は上手に使えていらっしゃいますか?」
おじいちゃん「こっちは皮の柔らかいところに塗ってる。こっちは足に塗ってる。こっちの湿布はなかなかうまく貼れないんだよ。背中に手が足りないんだよ。」
薬剤師「誰か手伝ってくれる人はいらっしゃいますか?」
おじいちゃん「嫁に手伝ってもらおうかな?」
やおい : やわらかい
たう、たわん : 届く、届かない
てごう : 手伝う

5) 「とにかくしんどくてだるいんだよ。」
たいぎい : しんどい、だるい(しんどい、よりしんどいイメージ)

6) 「庭木をいじっていたら木の棘が刺さって腫れてね。先生はばい菌が入っていると言われていた。」
いらう : いじる
すいばり : 皮膚に刺さった木のささくれ、とげ(皮膚に刺さっていなければ単なるとげ。イバラのとげは皮膚に刺さってもとげ。あくまで木のささくれ、かつ、皮膚に刺さっていて初めてすいばり。)

どうですか?そんなに難しくはないかな?!

文字に起こすと想像もつくのですが、音声だけで内容を理解するのには慣れがいるかもしれません。

「〜ちゃった」は便利な言葉ですね。
県外の人には誤解を招く可能性がありますが…
親しみを込めた敬語表現です。

例) 先生が早くしなさいよぉちゃった
訳) 先生が早くしなさいと言われてた

例) あそこの娘さん、結婚しちゃったん?
訳) あそこの娘さん、結婚されたの?

京都の「〜はる」にも似通った表現ですが、「〜はる」が相手との距離を広げる事で尊敬の念を表す印象を受けるのに対して、「〜ちゃった」はぐっと距離感を縮めて親しみを表すような人懐っこい感じがします。

大三島に住みつつも、仕事は因島なので「大三島弁」あるいは「東予弁」といったものには疎いままです。
面白い表現があればぜひ教えてください。