ハーボニー事件
凄まじい事件が起こりました。
薬局販売の薬にニセモノが混ざっていたのです。
↑ こちらがそのニセモノ、ボトルの中に入っている数もおかしけりゃ、見た目もおかしい。でも、ボトルは本物を流用しているらしい。
↑ こちらが本物。ニセモノとは似ても似つかぬ 錠剤の色、形。
ニセモノが見つかった渦中の薬はハーボニー。
C型肝炎治療の光とも呼ばれる、画期的なお薬です。
1日1錠、12週間=84日間、きちんと薬を飲めばほぼ100%のC型肝炎ウイルスが陰性化するという、驚くべき薬です。
驚くべきはそれだけではありません。
とにかく高価なのです。
なんと一錠、約5万5千円!
12週間分で450万を越す超高価な薬なのです。
(実際のところ、健康保険や高額医療費制度があるので、お財布からこんな大金が出て行くわけではありませんが、医療費高騰に拍車をかけると話題になりましたね。)
そんな薬に一縷の望みをかけて薬を薬局でもらって、それがニセモノだった!という事件が起こったのです。
日本の医薬品流通にはいろんなルールがあって、病院薬局で買える薬は世界一信用できる、と思っていたのに、この事件ですよ!!
前代未聞です。
患者さんは不安のどん底でしょうし、お医者さんも心配でしょうし、騙して大儲けした人がどこかにいるわけですし、薬局は信用低下も甚だしいわけですし、もう、ほんと、ひどい事件です。
厚生労働省のプレスリリース
ここで、気になることが一つ。
どうも、事件のあった薬局チェーンは「薬のメーカーの正規取引先ではない医薬品卸」と取引をしていたらしいのです。
現状、日本の医薬品卸はほぼ4つの会社に占められています。
病院も、薬局も、たいていそこから薬を購入しているわけです。
この大手4社から仕入れれば、日本で取り扱いのある医薬品を網羅できます。
きちんとした各製薬メーカー製品の正規取扱店ですので、この4社から仕入れていれば今回のような事件は起こらなかったはずです。
薬局とはなかなか難しいもので、薬はなんでも置いておかねばならないけれど、期限もあるし、滅多に使われない薬もあるし、最小単位で買っても余るものもあるし…という悩みをかかえています。
料理屋さんならば「本日Aランチ完売」で済みますが、薬局はそうはいかないわけです。
常に不良在庫との戦いです。
そこで出てくる現金問屋。
現金問屋とは、不良在庫を買いますよー!とどこからともなく現れて、足りない薬安く売りますよー!という、怪しい卸さん。
業界にいれば結構宣伝を見ますし、宣伝しているということはそれなりに儲けているのでしょう。
きっと「不良在庫に悩める薬局を救おう!」「薬をなんとか無駄にしたくない!!」という崇高な精神から誠心誠意働いている現金問屋さんもあるのでしょうが、正直、どこぞの盗品を扱っていても、謎の外国製偽造薬品を扱っていてもおかしくないですし、程度の低い医師・薬剤師が「なくしちゃった!」「ミスで破損しちゃった!」なんて言ってくすねた薬を売って小遣い稼ぎをしていても不思議ではありません。
こんな変則的でファジーな流通がなんとなく許されているからこそ今回の事件が起きたのだと私は推測しています。
実際のところどうなのかは今後の調査にかかっています。
まずは今回の事件の真相が明るみに出ることを強く期待しています。
(ちなみに、今働いている薬局でそういう現金問屋との薬の売り買いはありません。ハーボニーに関しても、ボトルを開封して日付印字をして一包化しているのでヘンな薬は間違いなく気付きます。案外マジメに仕事してるのよ、私。)
ちなみに、余談になりますが、偽造医薬品って結構身近なんですよ。
勃起不全治療薬のバイアグラなんて、ネットで買ったら4割ぐらいニセモノだった、なんて調査もあるぐらいです。
バイアグラぐらい人気で知名度もある薬だと、見た目もそれなりに本物を真似ていたりして、なかなか本物と見分けもつかなかったりします。
でも、小麦粉とペンキで出来ていたりして。
そんなこともあって、私はネットでの薬販売に関してはかなりの規制が必要だと思っています。
(大三島のような医療過疎地域に住んでいてもそう思っています。)
世界一信用できる日本の医薬品でありたいものです。