島を渡る薬剤師
私の勤める薬局には、いろんな島から患者さんが来ます。
今日は弓削島の患者さんのお宅に薬を届ける事になり、島を渡りました。
弓削島は因島から船で生名島に渡り、橋で佐島に渡り、さらに橋で渡った先の島です。
普段はこんなことは滅多にないんですけどね!
いろんな事情が重なってこんなことに、でも無事に患者さんにお薬をお渡しできて良かった〜!!
今でこそしまなみ海道で車が便利になりましたが、昔は大三島だってなんだって、瀬戸内の足と言えば船!!
けっこうこのあたりの人たちは「三原 (広島、本州側) の高校に船で行ってたよ」「今治まで船で通ってたわ〜」なんて言います。
そういえば、私の母校 (香川、高松) にも「小豆島から高速船で学校に通ってる」なんて子が学年に数人はいたものです。
なんだかそんなことに思いを馳せながらフェリーに乗り、車を走らせた1日でした。
歳をとって、病についたとき、船しか足がない島は本当に不便です。
近くに大きな病院はないし、夜は船も止まるし、どうしようもありません。
だからといって、そういう人たちが不幸かというとまたそれは別で、よくよく話を聞いていると案外サラッと「誰でも死ぬんだし、運が良ければ病院に行けるし、行けなくてここで死ねるならまあいいかな、それも仕方ないでしょ、運命だしねぇ、覚悟はできてるよ」なんて言うもんだからこちらがビックリしてしまいます。
もちろん言葉にはならない葛藤があるのでしょうが、思いの外、お話をされる患者さんの目には諦めとは異なる自然な光があることが多いです。
生き物ってそんなもんなのかも、と思ったり。
毎日を丁寧に生きる、っていうのは、家を綺麗にしたり、ご飯をきちんと作ったりすることのように認識されがちですが、単に「毎日しゃかりきでもなんとか生きてゆくこと」のような気がしてきます。